デザインに携わる人たちがよく耳にする「UI」という言葉。
その意味や目的を明確に理解している人は少ないかもしれません。
デザインに携わる人はUIを理解して設計することで、より良い成果を出すことができます。
今回はUIについて、UXとの違いやデザインのポイントもあわせて解説していきます。
UIとは、ユーザーと製品・サービスとの接点を指す「ユーザーインターフェース」の略です。
UIは見た目や使いやすさだけでなく、文字のフォントや操作性などユーザーが目にするもの、操作するもの全てを含んでいます。
ユーザーが製品やサービスを使う上で最も重要な要素の一つであり、良いUIを提供することがユーザーの利便性や満足度を高めることにつながります。
CUIとは「Character User Interface(キャラクターユーザーインターフェース)」の略で、文字ベースのUIを指します。
コンピューターが生まれた当初のUI形式で、グラフィカルなUIがなくキーボードを用いて文字列のみで操作を行うコマンドライン方式が主流でした。
そのため一般の人が使いこなすのは難しく、専門知識を持った人にしか扱えませんでした。
CUIは現代に比べシンプルで処理が軽いため、システムのリソースを圧迫せず高速な処理が可能です。
GUIとは「Graphical User Interface(グラフィカル ユーザーインターフェース)」の略で、グラフィカルなUIを指します。
CUIの弱点を克服する画期的な発明として誕生しました。
GUIマウスやタッチパッドなどのポインティングデバイスを使って、グラフィカルな要素を操作することで、パソコンの使いやすさが格段に向上しました。
GUIの登場によって、誰でも簡単にパソコンを使えるようになり、専門家でなくても直感的に操作できるようになりました。
GUIはCUIと比べて使いやすさが大幅に向上し、パソコンの普及に大きく貢献したと言えます。
視覚的なインターフェースの登場により、私たちの生活をより便利にしてくれています。
GUIは、近年の多くのデバイスやアプリケーションで利用されており、ユーザーにとって直感的かつ使いやすいUIを提供することが求められています。
UIと似たような言葉に「UX」があります。
一緒に使用されることが多いので同じような意味だと思われますが、2つは異なるものです。
UXとはUser Experience(ユーザーエクスペリエンス)の略で、ユーザーが製品やサービスを利用する際に感じる総合的な体験のことを指します。
UXは製品やサービスが提供する機能や情報だけではなく、ユーザーがその製品やサービスを使う際に感じる感情や使いやすさ、快適さ、便利さ、そして満足度などを含めた総合的な評価を意味します。
UXは、製品やサービスを設計する上で非常に重要な概念であり、ユーザーの視点やニーズを理解することが不可欠です。
UXを考慮した設計によって、ユーザーは製品やサービスをより使いやすく快適に利用することができます。
UXは単に製品やサービスの利用中だけでなく、前段階のマーケティングや広告、購入やサポートなどのプロセスにおいても重要な役割を果たします。
UXは製品やサービスを提供する全ての段階において、ユーザーにとって良い体験を提供することを目指すものです。
UIとUXは異なる意味を持つ言葉ですが、同じ文脈で使われることが多いです。
その理由は、UIはUXの一部に含まれているからです。 UIはユーザーが製品やサービスを操作する際の具体的な要素やインターフェースを指し、ボタンの配置やデザイン、画面のレイアウトなどが含まれます。
一方UXは、ユーザーが製品やサービスを通じて得る体験に焦点を当てた概念です。
ユーザーが製品やサービスを使用して得る主観的な感情や印象、利用前後のストーリーなどが含まれます。
UIとUXは相互に関連しており、両方とも重要です。 例えば、Webサイトでは情報が整理されていてボタンがわかりやすく使いやすい場合、ユーザーはサイトをより利用したくなるでしょう。
良いUIがあっても、UXが悪ければユーザーにとって満足のいく体験にならず、反対にUXが良くてもUIが悪ければユーザーが操作することができません。
UIはUXを実現するための手段の一つであり、ユーザーが直接操作する要素を改善することで、より良いUXを提供することができます。
近年、私たちの生活において「IoT」という言葉を耳にする機会が増えました。
IoTとは「Internet of Things」の略で、様々なものをインターネットに接続することを意味しています。
「スマートフォンから家のドアを施錠する」「外出先からエアコンの操作を行う」などがIoTの例です。
また、ウェアラブルデバイスも広く普及してきています。
私たちの生活において、インターネットに接続された機器が増えてきています。
IoTが普及するにつれ、私たちはより身近な存在であるインターネットを使用することになります。
そのため、インターネットに接続された機器には、使いやすくわかりやすいUIと、そのUIから得られる快適さや便利さ、使いやすさといったUXが求められるようになります。
優れたUIを実現するためには、いくつかのコツがあります。
現状の課題を分析する UIデザインのゴールを明確にする ユーザビリティテストを実施する 分析と検証を繰り返す それぞれ詳しく解説していきます。
まずは現状の課題を分析することが大切です。
UIを改善するためには、ユーザーが感じる「使いづらさ」や「操作に悩んだ箇所」を特定する必要があります。
ユーザーがサービスを使用する中で、どのような問題やストレスを感じているかを把握しましょう。
ただし、ユーザーの感情は年齢層や性別などの属性によって異なります。
例えば、年配のユーザーは小さな文字によるストレスを感じやすい場合があります。
UIの美しさや洗練度が高いからといって、優れたUIであるとは限りません。
UIのデザインに過度にこだわり、ユーザー目線を無視した失敗例は数多く存在します。
UIを改善するにはユーザーに対する理解が欠かせないため、「人間力」が重要になります。
課題を分析できたら、達成したいゴールを明確にしましょう。
例えば、「コンバージョン率をアップして売上を増やす」や「離脱率を改善して回遊率をアップする」といった具体的なゴールを設定することで、目的に向けた最善の方法を見出すことができます。
どのような目的を持ってUIデザインを行うのか、明確なゴールを設定することでデザインに必要な要素やデザインの方向性が決まります。
UIクリエイターはユーザーよりもUIについて深い知識を持ちますが、それゆえにユーザーと同じ目線でUIを見ることが難しいです。
そのため、UIにユーザー側にとって明らかな不具合や欠陥があっても見過ごしてしまうことがあります。
この問題を解決するためには、ユーザビリティテストを行うことが必要です。
ユーザビリティテストは、UIに関する事前知識や情報を持たないユーザーにUIを使用してもらい、その使用過程を観察するテストです。
ユーザーテストを行うことで、ユーザーがUIデザインをどのように受け止め、どのように使用しているかを把握することができます。
UIの完成度を高めるためには、このユーザビリティテストを早い段階から行い、テスト結果をもとにUIを改良することが重要です。
UIのプロトタイプが完成したらすぐにテストを実施し、得られた結果を元にUIを改良することで、優れたUIを構築することができます。
UI施策は実行したら終わりではなく、期待通りの結果が出るか確認することが重要です。
UI施策には手探りの部分が多く、1回目で成果を得られなかったとしても心配する必要はありません。
実際には想定よりも結果が悪くなることもあるでしょう。
その場合は、原因を分析し考察することが大切です。
結果が悪かったからといって即座に施策をやめてしまうのではなく、失敗から学び、改善していくことが必要です。
UIデザインの改善は、継続的な努力が必要とされます。
より魅力的なUIデザインを作るために、重要なポイントを6個紹介します。
それぞれ詳しく紹介していきます。
UIデザインには近接、整列、対比、反復などの原則があります。
これらの原則を意識することでデザインが整理され、ユーザーが情報を効果的に受け取ることができます。
UIデザインには個人の感性や経験が重要な役割を果たすこともありますが、原則に従うことが不可欠です。
近接とは、関連性の高い要素を近くに配置することです。
この方法によって、同じ情報量でも乱雑に配置された場合と比べて、ユーザーはより多くの内容を把握することができます。
例えば、ボタンとその機能に対応する説明文を近くに配置することで、ユーザーが迷わず操作できるようになります。
グループ化された情報は見やすさと理解しやすさを向上させるための有効な手段であり、ユーザーにとって親しみやすいUIを構築する上で欠かせない要素です。
整列とは、要素ごとに決められたルールに従って情報を並べることです。
例えば、テキストの左寄せや右寄せ、中央寄せなどが挙げられます。
整列することで、デザインが統一感を持ち、読みやすくなります。
関連性の高い要素を分けて配置する「近接」だけでは、ユーザーが欲しい情報にたどり着きにくくなってしまうため、整列によって目的の情報にスムーズにアクセスできるUXを提供することが重要です。
対比とは、似たものと違うものを意図的に対比させることです。
Webページの視覚的なメリハリをつけるための重要な工程です。
例えば、色の対比やサイズの対比を利用することで、重要な要素を強調したり、情報の階層化を行ったりすることができます。
ページ内のフォントがすべて同じ場合、視覚的な統一感は出ますが伝えたい内容が際立たず、ユーザーが著者の意図を正確に理解することが難しくなる可能性があります。
対比を意識してフォントの太さや色彩、見出しの配置などを工夫することで、強調したい情報を明確に伝え、ユーザーにとってわかりやすいページを作り上げることができます。
反復とは、「近接」「整列」でデザインされたレイアウトを、Webサイト全体で同じパターンで繰り返し使うことです。
例えば、メニューのデザインやボタンの形状を共通化することで、ユーザーが迷わず操作できるようになります。
また、繰り返し表示される要素が視覚的に統一されていることで、ユーザーはより使いやすく快適なUXを体験することができます。
配色は、UIデザインにおいて非常に重要な要素です。
特に、Webサイトやアプリなどのデジタル媒体では、文字や背景の配色がユーザーに与える印象が大きく影響します。
配色を考えるときには、3色配色や4色配色などの基本的な配色理論を意識することが大切です。
また、類似色を使うことで、色のトーンを変えながらも統一感を持たせることができます。
3色の配色は、シンプルで明確なデザインを作り出すことができます。
基本的に、1色はメインカラー、2色目はアクセントカラー、3色目はベースカラーとして使用するのが一般的です。
このような配色を使用することで、情報の伝達がスムーズになります。
4色の配色は、3色よりもやや複雑なデザインを作り出すことができます。
4色目は、必要に応じて使用することができます。
ただし、配色を増やすことで情報の伝達が複雑になることもあります。 そのため、必要以上に色を増やさないように注意が必要です。
類似色は、同じ色調の中で微妙に異なる色を使用することです。
例えば、黄色とオレンジ、青と紫などです。 このような配色を使用することで、調和のとれたデザインを作り出すことができます。
ただし、色の差が微妙であるため、情報の伝達がうまくいかないこともあるので使い方には注意が必要です。
ユーザーに情報を提供する場合、提示する情報量には注意が必要です。
情報を多く入れすぎると視覚的な混乱を招いたり、ユーザーの理解を妨げることがあります。
情報を整理し、必要最低限の情報を掲載することが重要です。
また、提示する情報に優先順位をつけて表示することで、ユーザーが必要な情報をすばやく見つけることができます。
UIデザインは、ユーザーの閲覧動線を把握してユーザーが使いやすいように考えることが大切です。
一般的に、ユーザーはwebページを左上から右下にかけて閲覧する傾向があります。
この「Fの法則」と呼ばれる動線に沿って情報を配置することで、ユーザーがスムーズに情報を取得できるようになります。
ユーザーが必要な情報にすばやくアクセスできるため、webページの価値向上につながります。
ユーザーの行動や思考を想定し、操作しやすいインターフェースを作ることが重要です。
現代では、PCやスマートフォン、タブレットなど多様なデバイスでウェブサイトやアプリが利用されています。
UIデザインがPC向けに最適化されている場合は、スマートフォンやタブレットでは表示が崩れることがあります。
それぞれのデバイスの画面サイズや表示方法を考慮し、UIデザインを最適化することが必要です。
レスポンシブデザインやモバイルファーストデザインなど、適切な手法を選びましょう。
ユーザーが利用するデバイスや通信環境は様々です。
特にスマートフォンでは通信環境の問題が起こりやすく、ページ表示に時間がかかることがあります。
ページの表示速度は、ユーザーのストレスや離脱率に直結します。
Googleもページ速度がSEOに影響すると公言しており、表示速度の向上は非常に重要です。
動画や画像の最適化、不要なスクリプトの削除など、ページの表示速度を向上させる工夫が必要です。
また、CDNやキャッシュ機能など、サーバー側の最適化も検討しましょう。
これによってユーザーの利便性が向上し、サイトの評価が上がることが期待されます。
優れたUIデザインを行うためには、スキルを向上することが不可欠です。
UIデザインのスキル向上に必要な取り組みを2つ解説していきます。
UIデザインのスキルを向上させるためには書籍やセミナーなどからのインプットは欠かせませんが、それだけでは不十分です。
インプットで得た知識を、実践でアウトプットをすることが必要不可欠です。
実際に手を動かしてUIデザインを作成することで、理論だけでは身につかない経験やスキルを磨くことができます。
また、アウトプットしたデザインを実際にユーザーに使ってもらい、その反応や評価を取り入れて改善を加えることも重要です。
積極的に実践に取り組み、経験を積み重ねていきましょう。
他社や競合がどのようなUIデザインを採用しているのかを見ることで、優れたデザインの特徴やトレンドを把握することができます。
優れたUIを理解するためには、まず自分で有名なサービスを実際に触ってみて分析することが大切です。
また、他社や競合と比較することで、自社のUIデザインの強みや改善点を見つけることができます。
分析によって得た知見を活かして、より良いUIデザインを作り上げることができます。
UIデザインの企業事例として、以下の4つの企業を紹介します。
それぞれの企業がどのようなUIを実現しているかを参考にして、自社のUIデザインの改善に取り組むことが重要です。
ジャパンネット銀行は、ユーザビリティの向上に力を入れたUIを実現しています。
例えば、ログイン画面ではユーザーが必要な情報を簡単に入力できるように設計されており、アイコンやボタンなどもシンプルで分かりやすくなっています。
また、口座保有者と非保有者それぞれのニーズに合わせたABテストを行い、ターゲットユーザーのニーズに合わせたUIデザインを出し分けることで、改善効果が見込めることがわかりました。
ターゲットユーザーのニーズに合わせたUIデザインの重要性を認識し、効果的な改善を実現しました。
Huluは、映像ストリーミングサービスのUIに力を入れています。
タイトルの一覧表示や視聴履歴の管理など、ユーザーが目的のコンテンツにスムーズにアクセスできるように工夫されています。
また、視聴中の画面には字幕や音声言語を簡単に変更できる機能があり、ユーザーにとって使い勝手がよくなっています。
ガリバーは、中古車販売サイトのUIに力を入れています。
検索機能が充実しており、車種や年式、走行距離など、詳細な条件指定が可能です。
また、検索結果画面では見やすさにも配慮されており、必要な情報がすぐに把握できるようになっています。
Googleは世界中で最も利用されている検索エンジンです。
Googleのトップ画面には検索ボックスのみが設置されており、シンプルで画期的なデザインが採用されています。
非常にシンプルで使いやすく、検索窓に入力したキーワードに応じて適切な検索結果を返してくれます。
さらに、Googleは検索結果に表示される「スニペット」と呼ばれる項目により、URL以外の情報を提供することで、ユーザーが検索結果ページに遷移しなくても問題解決に役立つ情報を得られるようになりました。
ユーザーはより迅速に問題を解決することが可能になり、UXが向上しました。
Googleは常に様々なアップデートを行い、ユーザーがより快適に検索を行えるよう改善を重ねています。
Googleがこうしたアプローチを取ることで、ユーザーにとって利便性の高い検索エンジンであることを提供しています。
この記事では、UIに関する基本的な知識について解説してきました。
UIは、見た目や操作性によってユーザーとサービスをつなぐ重要な役割を持ち、UX向上に欠かせない要素の一つです。
最適なUIはターゲットユーザの属性によって異なり、単一の手法で全てのユーザを満足させることはできません。
UIデザインの完成度を高めるには、実践を通じて経験を積むことが不可欠です。
デザインにおいて重要なのは、「ユーザと機能の接点を最大化する」ことを意識することです。
見た目だけでなく、ユーザが使いやすいUIを実現することが求められます。
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